2020年10月20日
第175回
ドライバーイップス
 暑い夏が過ぎ、コロナも東海地方では大分落ち着いたのでゴルフを再開しました。先日の日曜日のゴルフ場はコロナ前と同じくらい混んでいたので驚きました。食堂は以前4人で座っていたテーブルが2人掛けになっていて、風呂場の脱衣場もかなりの間隔を空けてありました。
 実は2年位前から、ドライバーイップスになって悩んでいましたが、しばらく休んだので治っているのではないかと期待し、一方で又出るのではないかと不安を抱えながら、1番のティーング・グランドに立ちました。当たりは大したことは無かったですが、まあまあ普通に振れてスタートが出来たのでホッとしました。
 イップスにも色々有るようですが、私の場合、ティーング・グランドでティアップした時だけ起こります。テークバックはスムーズに引けますが、トップで固まってしまい降りてこないのです。無理に降ろすとタイミングが崩れてとんでもないミスショットになってしまいます。もちろんスタート前には練習場でドライバーも打ちますが幾ら大振りしても出ません。又、ドライバーでイップスが出た時でも次のフェアウエイウッドは普通に振れます。アイアンショットもアプローチショットでも起きません。パターも平気です。まったく奇妙な現象です。
 今回は2番も3番も出ませんでした。これなら大丈夫かなと一所懸命意識しないようにしているのに、同伴の友達が「今日はイップス出ないね」とわざと意識させるような無神経なことを云います。この野郎と思って次のホールで力んだら案の定出てしまいました。全く精神的に弱いと思います。
 イップス克服書などは沢山出ていて、色々なメンタルトレーニングが書いてありますが、結局”意識するな”と云うことで精神的に弱い私にはあまり役に立っていません。
他の友人から「君は以前から、イップスとか、イップス病とか云っているが、イップスってどういう意味。医学用語なの。病名なの」と聞かれてハタと困りました。外来語であることは確かですが、スペルも知らないし、語源も知りません。ましてや定義とか、医学用語かどうかは全く判りません。そこで調べてみました。

 1930年代に活躍したプロゴルファーのトミー・アーマーがある時から突然パターが打てなくなって引退に追いやられましたが、彼が著書の中でこのような症状にyips(うめき病)と名付けたことで知られるようになったと云うことです。yipeとは”ひゃあ”とか”きゃあ”とか云う感嘆詞でそこから名付けたようです。
 その後イップスとは特定の状況において今まで出来ていたことが突然出来なくなる運動障害の状態だと定義され、スポーツだけでなく、日常生活でもこのような状態の時に使われるようになりました。但し、医学用語でも診断名でもありません。
 原因の一つとして心因性動作失調と云われる精神的な原因により動作に支障を来し、突然自分の思い通りの動きが出来なくなる状態で、過去の何らかの体験の影響により起因された不安や恐怖の心理的要因で普段出来るはずの動作が突然出来なくなると云うものです。
 器質的な原因として局所性ジストニアの可能性も指摘されています。この病気は不随意で持続的な筋肉収縮を引き起こす神経疾患で緊張すると起こります。ピアニストの指ジストニアが有名です。
 アメリカの有名なメイヨ―・クリニックの研究では競技ゴルファーの33~48%に経験があり、25年以上プレーしている人になり易い傾向があるとのことです。又ゴルファーに関しては加齢も関係すると云われています。
 口の悪い友人が「イップスは上手な人しかならない。君の場合はイップスとは云わない。イップス以前の問題だ」と云いました。事実、ロータリークラブの友人で過ってクラブチャンピオンにもなった名人が一人はパターイップス。一人はアイアンイップスで現在悩んでいます。やっぱりそんなものですかねえ~。私のような下手クソはイップスには罹らないのかな。ではこの状態はなんでしょう。単に加齢のための筋力低下ってことですか?
 イップスになり易い人は、まじめで責任感の強い人。他人の目や評価が気になる人。完璧主義の人。高い能力のある人だそうです。私はこの条件には当てはまらないような気がしますが、でもイップスは出ます。
今回も結局数回イップスが出てしまいましたが何とか勝負は勝ちました。
精神力は弱いのか強いのか?!