2024年3月19日
第216回
今年も花粉症が真っ盛り!?
 3月も初旬は寒さが続きましたが、此処に来てやっと春めいて来ました。今年の桜の開花も例年より4~5日早いと予想されています。何となく気持ちが高揚する季節です。
 病院の近くの大学や高校ではここ数日の間に卒業式があったようで、袴姿の女子学生を大勢見かけました。日本独特の風景ですが清々しくて楽しいですね。
 一方で花粉症の季節でもあります。今が真っ盛りのようですが、愛読者の皆さまは大丈夫でしょうか。

 花粉症は飛散したスギやヒノキなどの花粉が目、鼻、口などに侵入して起こる季節的アレルギー疾患です。今年は特に飛散量が多いようで大変です。
 原因や症状については今更詳しく説明しなくても皆さんよくご存じだと思いますが、症状は三大症状と言われている鼻水、鼻つまり、くしゃみです。その他、目のかゆみ、涙目、咽喉の痛みなどが一般的で、重症になるとその頻度とレベルが上がるばかりか、怠惰感、うつ症状が出る人もいます。
  今や国民の約半分が罹ると言う国民病になってしまいましたが、私の若い頃は稀な病気で周りにそんな症状の人はほとんど居ませんでした。因みに、いつ頃から花粉症として認識されたかと調べてみたら、日本では1963年に荒木博士がブタクサで花粉症の報告を発表したのが初めてのようです。
 もちろん花粉は昔から飛散していて、人はそれを吸ってはいましたが、ピュアな花粉はほとんどアレルゲンになることはありませんでした。それが自動車の排ガスとか炭素物質、PM2.5など大気汚染物質によって破壊されるとアレルゲンとして活動するようになったのです。
 一方、身体の方も衛生環境の良化によって基礎的免疫力が落ちアレルゲン阻止力も落ちて罹患しやすい状態になりました。
 以前は効果的な治療法が無くて、症状が収まらず罹った人は大変でしたが、ここ数年はさすがに治療薬も進化してきました。
(これ以降、薬剤名が沢山出てきますが、当院はこれらの薬剤について利益相反はありませんので念のため)
 先ず、体質改善をしてアレルギーを根本的に治療するアレルゲン免疫療法がありますが、長期間定期的な通院が必要でかなり大変です。その間、症状は出ますので対症療法も併用しなければなりません。
 次に、注射薬として、内服薬を飲んでも症状が改善されなかった重症の患者さんにゾレア皮下注射治療があります。これは元々難治性の気管支喘息に使用されていた注射ですが、花粉症にも即効性があるので最近よく使用されています。但し、高価でしかも重症しか保険適応にならないのが難点です。その他の注射薬にノイロトロピンや、ヒスタグロビンなど、バイオ医薬品がありますが、効果が不明で即効性が無いのであまり使われていません。
 内服薬としてはアレグラが、以前からよく使われてきた薬です。眠気が少ないため、日中の眠気が気になる方にはオススメです。軽い症状なら十分に効果があります。ザイザルは小さな子供も飲むことが出来る薬です。眠気がきやすいので車の運転は出来ません。普通の錠剤だけでなく、OD錠(噛める錠剤)、シロップもあり便利です。その他内服薬はアレジオン、クラリチン、デザレックス、ビラノアなど沢山あります。
 局所薬ではナゾネックス点鼻薬などの点鼻薬で、鼻つまり、鼻水、くしゃみが抑えられます。又、目の症状に対してはパタノール点眼薬など抗ヒスタミン点眼薬が使用されます。
 但しこれらの薬剤の服用に当たっては、効果、眠気、副作用などそれぞれ特徴がありますので、何れも医師の診断の基で適量を使用してください。特に妊婦さんは薬によっては使用不可の物もありますから、医師の指示に従って服用してください。
 一方で自衛も必要です。外出時は出来るだけ花粉に触れないように、そして家に持ち込まないように。外出時のマスク、防衛眼鏡、帰宅時の手洗い、うがいは必須です。
 国民の約半分と言われる花粉症の皆さん。なんとか症状を軽く押さえて今季を乗り切りましょう!