2021年9月17日
第186回
今年は9月病に要注意

 皆さんは新入生や新社会人がゴールデンウイークを過ぎた頃、新しい環境に馴染めず心身が不調になってしまう5月病についてはご存知だと思います。
 ところが最近は夏休みを過ぎた頃、同じような不調を訴える人が増え、それを9月病と云うそうです。先日カーラジオで9月病について解説しているのを聞いて、初めてそんな病名と云うか単語があることを知りました。私も不勉強でしたが、皆さんの中にもご存じない方がおられるかも知れませんので調べてみました。

 元々は夏に長いバカンスを取る欧米で、休み明けにうまく仕事に復帰できない人が陥る不調を9月病と名付けたようです。一方、一昔前の日本は暑い夏に体力を消耗して所謂夏バテになり、気候が良くなった秋には食欲の秋と云う諺もあるように元気が戻るはずでしたが、最近は冷房などで生活環境が改善され、何とか夏バテにならずに過ごせた分、9月に付けが来て体調不良を起こし、今や欧米並みに夏休み明けに9月病に罹る人が増えたようです。

 以前、第54回第138回の理事長コラムで”秋バテ”について書いた覚えがありますが、あの時もどうして夏バテが秋バテになったのだと思いながら書きましたが、今回もなぜ秋バテから9月病になったのだと云う思いがします。
 秋バテが話題になった頃は、何となくだるい、疲れた、朝起きれない、消化不良、食欲が無いと云った主に肉体的な不調に主眼が置かれていましたが、9月病はやる気が出ない、気力が落ちた、眠れない、不安、イライラ、集中出来ない、ストレスが溜まるなど内因的な原因から起こる心の症状にも注目しています。
 秋バテの概念では身体的疲れからくる肉体的な不調が主でしたが、基本的には心身両面の崩れが起因していることが解明され、実は秋バテも9月病も同じ状態を指すが9月病はより心の不調を強調していると思われます。
 季節の変わり目、日本特有の気候の変化も影響していますが、今年はコロナ過で長期の自粛生活を強いられ、ストレスが溜まり、運動不足も重なって精神的不安定さが例年より増しています。元々うつの素因がある人はこの時期に悪化しやすいですが、今年は増々その傾向が強くなりそうですので要注意です。

 原因や対処法については以前にも書きましたので重複になりますが、原因としては夏場の冷えが挙げられます。最近は日常的に冷房の中で暮らしているので身体は冷え気味になっています。その上冷たい飲食物を取りすぎて、身体を冷やしすぎ所謂”冷え”が生じています。又季節の変わり目による気温の変化、冷房などによる温度差の激しさは自律神経を乱し、ストレスが溜まり、倦怠感など身体にさまざまな不調をきたします。一方冷たい飲料水の飲みすぎが胃腸機能を低下させてしまいます。
 対処法としては、いずれの健康法も同じですが、食事、睡眠、運動の3大要素の適切な実施が重要です。食事は胃腸にやさしく身体を温める食べ物を取り、冷たい物は出来るだけ避けてください。質の良い睡眠のためには38度程度のぬるめのお湯に20分ほど浸かるのがお勧めです。湯船に浸かることによって副交感神経が優位になり、血流改善や質の良い睡眠、胃腸の機能向上の効果が期待できます。そして、20~30分程度のウォーキングが自律神経の乱れに効果があります。又、日光浴も大事です。太陽の光は自律神経を安定させ、不眠を解消しスムーズな眠りを助けてくれます。
 それでも上記の症状が続く様なら心療内科か精神科を受診してください。ほっておくと9月病のつもりがうつ病になる可能性があります。

 余談ですが、5月病も9月病も医学的な正式病名では無く世俗的な名称です。もちろん、夏バテ、秋バテも病名ではありません。

 9月に入って気温が乱高下しています。こんな時は体調を崩し易いので9月病の兆候が出易い時です。皆さん、油断しないで体調を整え楽しい秋を迎えてください。