2021年12月20日
第189回
師走の雑談3題
 今年も新型コロナに振り回され大変な1年でしたが、やっと師走にたどり着きました。それからは逆にあれもしなければ、これも片付けておかなければと思っている内に、その名の通りあっという間に過ぎて行きます。
 賢明なコラムの愛読者の皆様は万事計画通り進んでいると思いますが、私はまだやり残していることが沢山有りますのでもうひと頑張りしなければなりません。
 それはそれとして、今月のコラムは最近見聞きして、興味を持った話題を3題述べてみたいと思います。

その1。
 半年くらい前に偶然見た10チャンネル(テレビ愛知)午後10時からのWBSと云う経済ニュース番組の内容です。他のニュース番組は何処も新型コロナ関連がトップニュースだった頃、WBSは経済関連ニュースがトップで、新しいアイデアの企業が起業するとか、敵対的TOBが始まったとか経済関連のトピックスが続き、コロナに関しては1時間番組の最後の方にちょろっと出てくるだけです。
 コロナ、コロナで少し食傷気味でしたので、すごく新鮮に感じました。それと医者の世界だけでは到底判らないような、日刊紙の経済欄には書いて無いようなコロナ過での経済動向が判り、目から鱗の感がありました。
 それ以後午後10時にテレビを見る機会が有れば、必ずWBSを見ていますが、その都度、新しい知見を得て、この歳になって今さらですが、一端の経済人になったようで、少し賢くなったような気がしています。

その2。
 先日、東海北陸厚生局の「医療安全1Dayセミナー」と云うセミナーが有りZoom参加しました。このセミナーに出ないと保険診療で監査などの時に意地悪をされるので管理者としては是非出席が必要なセミナーです。唯、この講演はZoomをつけっ放しにしておけば良いと云うものでは無くて、相手もさるもの時々キーワードを出して返信を求めてきます。それも講演の合間では無く途中で突然出すのでずうっと見続けなくてはいけないと云うなかなか厳しい企画でした。そのため、朝9時半から午後4時半までほぼ缶詰め状態で見ていて眼も体も疲れ果てました。
 その中でトヨタ自動車の安全管理方式を医療安全に応用したPDCAと云う方法の実例を示しながら解説していましたが、さすがトヨタ、素晴らしい方式でこれを使えば医療安全もかなり完璧に管理されると感じました。
 簡単に要約しますと、P(plan)テーマを選定し、現状把握、要因分析をして目標を設定し、対策の立案をする。D(do)その対策を実施する。C(check)効果を確認し、A(action )標準化と管理の定着に努めると云うことです。
 当院でも安全管理の場合だけでなく、色々な事例に使ってみたいと思いました。
 余談ですが、先日ロータリーの仲間にPDCA方式を自慢げに話したら、既に実業界では当たり前のことのようで逆に色々教えられ、医療界の遅れにちょっと恥ずかしい思いをしました。

その3。
 最後は他愛もない話ですが、NHKの球辞苑という番組での見逃し三振についての討論です。たかが見逃し三振でも立場によって、見方によって色々な見解が有るのだなと興味深いものがありました。
 ”ツーストライクを取られているのだからせめてバットを振れよ。見逃し三振は駄目だろう”と拙いプレーの象徴のように云われています。
 打者にとっては屈辱的な場面ですが、投手や捕手にとっては空振り三振より嬉しい場面だそうです。投手は剛速球で、或いは得意のフォークボールで空振り三振を取れれば気持ちは良いですが、バットを振られれば何かが起こる可能性が有りますので、振らせずに三振なら最も安全なアウトになります。バッテリーとしては打者の裏をかいたと云うことで快感だそうです。
 一方打者にとっては想定外なコースや球種を投げられて手が出なかった場合と、ボールと判定して手を出さなかった場合があります。出演していた好打者たちも手が出なかった場合が多いと認めていましたが、見極めた時に審判がストライクと云って三振したことも少なくないと云っていました。審判にも癖とその日の傾向があるので、打者も投手もそれを考慮して見極めないといけないようです。見逃し三振一つにしても投手、打者だけでなく捕手、審判迄絡んで奥深い深謀遠慮が必要なようです。
 日々の生活の中でも時々思わず見逃し三振的な事項が起こります。次はしっかり見定めるように或いは空振りもしないように日頃から鍛錬しておきましょう。