2023年3月23日
第204回
WBC 日本優勝!!
 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンが優勝しました。栗山監督を始め、ダルビッシュ選手や大谷選手が世界一を目指すと言って集まってから約1カ月、本当に実現してしまいました。凄いとしか言いようがありません。しかもシナリオどおりと言うか、シナリオでもこんな劇的なシナリオは書けません。書いても出来過ぎと却下されそうな内容です。
 それにしても大谷選手は特別なものを持ってますね。漫画の主人公そのままです。先ず1次ラウンド。B組初戦の中国戦で投げて打っての二刀流で開幕。翌日は韓国戦、韓国は野球に限らず、日本戦には何時も特別の対抗心を燃やしてきますが、今回は初戦で負けているので、連敗すれば1次ラウンド敗退の危機となり、尚更燃えていました。その韓国に3点先制されてしまいました。逆に負ければ日本も敗退の可能性が出てきます。しかし、その裏にすぐ跳ね返して逆転。結果的には大差で勝って、結局1次ラウンドは1位で通過しました。
 準々決勝はイタリアが相手でしたが、フレッチャーなどイタリア系大リーガーが大勢いたのでびっくりしました。確かにアメリカは移民の国なのでルーツをたどればこういう人は沢山いるだろうとは思います。結果は、大谷選手、ダルビッシュ投手の豪華リレーで完勝しました。
 ここまではまあ予想通りと言うか、その通りになりましたが、準決勝のメキシコ戦からが、正に大谷劇場の始まりでした。4回に3点を先制され、5、6回と満塁にしながら、タイムリーが出ずに残塁の山を積み重ねていました。やっと7回に吉田のスリーランが出て追いついたと思ったら8回に2点を追加されてしまいました。その裏もチャンスになりながら1点しか返せず、今日は危ないかと心配になった9回の裏、先頭打者大谷の帽子を飛ばしての2塁打。そして塁上での雄叫び、それが不振の村上を鼓舞して逆転サヨナラ2点打に繫がりました。
 MLBのスター選手を集めて連覇を狙うアメリカとの決勝戦。直接アメリカに勝って優勝しないと真の世界一とは言えません。これもシナリオ通りになりました。3対2で迎えた9回の表、大谷が抑えとして出てきました。ツーアウト、ランナー無しとなり、最後の打者がトラウトです。エンジェルスの同僚で、アメリカチームの主将です。こんなシーンが有れば良いなと皆が密かに描いていた夢が最後の最後に実現したのです。両者にとってはホームランか三振かと言う場面になりました。カウント3-2のフルカウント。渾身のスライダーで空振り三振。試合終了。日本優勝!
 ドラマでも出来過ぎで躊躇しそうな結末です。今回のWBCは野球漫画の主人公、大谷翔平を実写で演じさせた、まるでおとぎ話のような大会でした。MVPも本来なら吉田選手ではないかと思いますが、彼の超スター性で持って行ってしまいました。他の全員の選手が、相手国選手も含めてみんな彼の盛り立て役になってしまったのです。
 テレビの視聴率も50%を超えたと言っていました。皆さんも楽しまれたことでしょうが、私も十分楽しませてもらいました。久々にスポーツに熱中した2週間でした。
 蛇足ですが、今月はWBCの結果を見てから、このコラムを書こうと思ったので、何時もより遅れました。その挙句、負けたら何と書こうかと心配でしたが、これも大谷選手のお蔭でシナリオ通りとなりました。