2026年5月20日
第242回
春の健康診断を受けましょう!
 風薫る5月となりました。偶然かどうかNHKの朝ドラでもそんな題名のドラマが放映されています。内容はナイチンゲールに憧れて看護師さんとして活躍する話のようです。

 気候は今の所穏やかで風薫る感じですが、所謂5月病の人達は例年より多めのようです。当院の心療内科や心身小児科の患者さんが多くなってきました。入学、進学、新社会人など環境が変わって一カ月ほどたちストレスが溜まってきたのでしょう。コラム愛読者の皆さまは罹らないよう気を付けてください。

 さて、毎年4月はどの企業も健康診断の季節だと思います。その結果が5月の初め頃届いてそれを見てどうすべきか悩んでいる方もいらっしゃるかと思います。今回はその結果について医学的異常値とは別に長年の経験から得た私なりの異常値判断について説明しますので適当に参考にしてください。但し、その結果に対して責任は取れません。念のため。

 事業所によって検査の内容は多少異なると思いますが、先ず身長、体重、BMI,腹囲は測定すると思います。BMIは19~24が正常値ですので、24超えの人は肥満と考えてください。唯私の感覚ではBMIがある程度高くても腹囲が男性85以内、女性90cm以内ならそれほど気にしなくても良いと考えています(診察の時は気にするように言いますが)。逆にBMIが19以下の場合を痩せと診断します。特に若い女性で痩身願望が強く13を割るような人がいますが、これは痩せと云うだけではなく命にかかわることもありますので要治療です。場合によっては入院させて食事など栄養管理をしなければなりません。もしご近所にそんな若い女性がいたら、是非、小児科か内科に行くように助言してあげてください。

 次は視力検査。普通左、右、両眼を計ります。左右差はあっても両眼で0.7以上なら眼鏡無しで運転免許証が取れます。大人としてはそれが一つの目標になると思います。唯歳を取ると老眼や乱視も出て来ますので、見え方は視力のみと単純では無くなって大変です。

 最近子供の近視が多くなりました。1.0未満の子供が小学生で35%以上、中学生で6割近く、高校生で7割近くいるそうです。原因は色々あるようですが、外で遊ばなくなった、スマートフォンの普及、睡眠時間が遅く短くなったなどが挙げられていました。その内国民総眼鏡でしょうか。

 聴力検査。左右、高音と低音を調べます。いずれも35dB以上聞こえれば正常です。聴力は片方しか聞こえない人、低音しか聞こえない人などかなりいます。挨拶をしても返事もしない無愛想な人だと思っていたら、偶々聞こえない方の耳に向けて話していたようで顔の向きを変えたら急に愛想が良くなって丁寧に話されたと言うような経験をされた方も多いと思います。私の場合は両耳ともよく聞こえますが、時々聞き直すことがあります。そんな時は大抵私にとって都合の悪い話のようで、かってつんぼと言われています。子供は片効きだと気付いていない場合に交通事故の確率が高いと言います。気を付けましょう。

 血圧検査。最高血圧140mmHg以上、最低血圧90mmHg以上で高血圧症。最高血圧90mmHg以下、最低血圧59mmHg以下で低血圧症と定義されています。主に高血圧が動脈硬化によって将来の脳梗塞や心筋梗塞に繋がると心配されますが、季節変動もありますし(夏は低め、冬は高め)、肥満が伴わなければもう少し高くても160台くらいでもそれほど心配ないかと思います。逆に低血圧はほとんどの人が貧血を伴っており、治療の対象になります。私が産婦人科医の性かもしれませんが痩せ、低血圧、貧血の若い女性は将来の妊娠・出産にも関係してきますので特別気になります。

 胸部レントゲン検査。主に肺がん検査として重要です。是非受けてください。最近はAI読影で見落としが減りましたが、画像診断なので絶対はありません。異状なしと出ても毎年検査することをお勧めします。ましてや、要観察とか要精密検査と出た時は直ぐ専門医を受診してください。

 心電図検査。心臓の鼓動の際の電気信号を波動として記録するものですが、心筋梗塞や心筋症、心室肥大など色々な心臓の機能異常や形態異常が見つかります。要精検とあれば専門医に掛ってください。

 検体検査。紙面も少なくなったので代表的なものだけピックアップします。アルブミンが正常値以下なのは好ましくはありませんが、A/G比が正常値ならまず良いと思ってください。肝機能(AST、ALT、γGTなど)に関しては多少の高値は許容範囲。尿素窒素、クレアチニン高値は腎疾患を疑い専門医に相談してください。血糖値、HbA1cも多少の高値は許容範囲と考えますが、逆に低血糖は急性症状が出る恐れがあり要注意です。電解質は多少高低で正常値を外れても経過観察で良いでしょう。

 尿検査。糖陽性なら糖尿病を疑います。肥満を伴えば要注意です。蛋白陽性なら腎臓疾患を考えます。クレアチニン高値なら要治療です。いずれも専門医を受診してください。

 最後に女性は子宮がん、乳がん検診、男性は前立腺検査(PSA)を是非追加してください。
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